2007年05月17日 (木)
時論公論 「安心できる高齢者医療制度に」
(野村キャスター)
続いてニュース解説、持論公論です。
75歳以上の高齢者を対象に来年度創設される高齢者医療制度。
スタートまで一年を切って準備か本格化しています。
果たして患者が安心できる制度になるのか、飯野解説委員です。
(飯野解説委員)
高齢になって、体の具合が悪くなったときにどんな医療が受けられるのか、
皆さんにとっても関心が高い問題だと思います。
今夜は新たにできる高齢者医療制度の中で、
安心して医療を受けられる体制をどう整えればいいのか、
厚生労働省の審議会がまとめた基本的な考え方を元に考えていきます。
まず、来年4月のスタートに向けた準備の状況
です。皆さんがお住まいの地域でも、
広域連合という組織がすでにできていると思います。
高齢者医療制度は、都道府県ごとに作られて、
その中のすべての市町村が参加する広域連合が
運営することになっているからです。
これからこの広域連合で、高齢者に負担してもらう
保険料を決めることになっていますが、
同時に議論が進んでいるのが、高齢者を支える医療の仕組みをどう作るかという問題です。
きょう注目するのは、こちらの部分です。
さっそく、厚生労働省の審議会がまとめた基本的な考え方からみていきます。
<医療のあり方の考え方>
高齢になると、高血圧や糖尿病といったいくつもの病気を抱え、治療が長期に及ぶことが
少なくありません。そうした特性を持つ高齢者が、生活を大事にしながら、治療を続けられる
体制を整えていこうというのが基本的な考え方です。
そのために、在宅中心の医療へ方向転換することが必要だとしています。
具体的には、こうした仕組みがイメージされています。
高齢者医療制度に加入する75歳以上の人には、
ふだんから心身の状態を把握し、調子が悪くなった
ときにいつでも見てくれる、かかりつけの医師を
もってもらいます。この医師は、地域の開業医で、
いくつもの病気を抱える高齢者を、総合的に診る
ことができる医師と位置づけられています。
もしここを受診して、入院が必要と診断されれば、
この医師に病院を紹介してもらいます。
患者を受け入れる病院では、退院後の生活も視野にいれた治療計画を、
患者が入院した段階でつくります。そして、地域のかかりつけ医などと連携しながら、
できるだけ早く自宅に戻れるよう、退院を支援します。
地域にもどってからは、かかりつけ医が患者の治療を引き継ぎます。
通院が難しければ、24時間体制で往診もします。
それだけでなく医療や介護の関係者が連携して患者を支えられるよう、
チーム全体の調整役もにないます。
もし患者が、自宅で最後を迎えることを望んでいれば、
在宅での看取りも支えていくことになります。
<評価>
さて、どうでしょう。ようは、昼夜を問わず患者に対応してくれた、心優しい町のお医者さん、
赤ひげ先生が活躍していた時代に、医療のあり方を戻そうということだと思います。
そうなれば、患者も安心して、住みなれた自宅で過ごすことができますし、医療費の面でも、
入院して治療を受けるよりはるかに効率的だからです。
しかし、在宅中心の医療を復活させようと思っても、そう簡単ではありません。
これまで病院中心の医療が長く続いてきましたし、かつて赤ひげ先生が活躍していた
時代とは、医療の状況も患者の側の意識や家族の状況も大きく変化しているからです。
<課題>
まず現代版の赤ひげ先生とも言える、
かかりつけの医師を確保できるのか、
その力量は大丈夫かということです。
最近病院をやめて開業する医師が増えていますが
24時間体制で往診する医師はまだ少数ですし、
以前に比べると、新たな能力が必要になってきて
いると思うからです。
・ひとつは、患者を総合的に診る、質の高い診断能力です。医学や医療が進歩して
病気の種類や治療法が増えていますし、患者の側も確かな診断と治療の技術を
求めるようになっています。ところが、地域で開業する医師の多くは、
病院で特定分野の専門医として長く活躍してきた人たちで、
専門分野の病気は得意だけど、他はちょっとという人が少なくありません。
・もうひとつが、医療や福祉の関係者を調整する能力です。核家族化が進んだ今の時代は、
いろいろな職種の人の支えがなければ在宅医療は成り立ちません。
昔のように、医師が、家族との関係だけを考えていればよかった時代ではなくなっています。
このほか、看護師など、在宅医療を担う他の職種の人材を確保するのも大変な状況ですし、
患者を受け入れる病院も、退院後の生活まで考えて開業医などと連携する体制を
十分整えているとはいえません。
厚生労働省の審議会は、在宅中心の医療を広げようと、
これから医療機関に支払う診療報酬について議論を進めることにしています。
しかしいくら報酬で誘導しようと思っても、在宅医療の質が伴わなければ、
大病院を志向する患者の行動は変わっていかないと思います。
大切なのは、在宅医療を担う人材を確保し質を高めること。
とりわけ、中心となるかかりつけの医師の役割が重要だと思います。
<対策>
では、具体的にどうするかです。私がもっとも重要だと思うのは教育です。
欧米諸国では、具合の悪くなった患者を最初に診察する医師を、器別の専門医とは別に、
数年かけて教育するシステムを整えています。どんな病気にも対応するとなると、
幅広い知識と経験が必要だからです。医療が専門分化している現状を考えますと、
日本でもそうした教育システムが必要ではないかと思うのです。それがどんなものなのか、
欧米諸国をモデルに、日本で行われている数少ない取り組みのひとつをご紹介します。
北海道内に病院や診療所をもつ医療法人が、
10年前に設立した北海道家庭医療学センター
での研修です。センターがある室蘭市を中心に、
ここから巣立った医師が働く、各地の診療所など
で家庭医療を実践してもらいながら、医師を育てて
います。
参加しているのは、2年間の初期研修を終えた
若手医師が中心です。
これは、診療を終えた後の研修の様子です。診察の様子をビデオで撮影して、
互いにその様子をチェックしたり、難しい症例について指導医を交えて議論したりすることを
積み重ねていきます。
患者の訴えをどう引き出すのか、患者の生活の背景まで把握できているか、科学的根拠に
基づく検査や治療を行っているか、3年間の専門研修で、どんな症状の患者にも対応できる
能力を身に着けていきます。
こうした実践的な指導に、若い医師たちも手ごたえを感じているようでした。
これまでここでの研修を終えた医師は20人あまり。
各地で地域医療の担い手として活躍しています。
そのうちのひとつ、更別村という地域の診療所を取材したのですが、
日常の外来や往診だけでなく、行政や保健師などとも協力して、健康教室にも取り組み、
地域住民から、かかりつけ医として厚い信頼を得ていました。
<まとめ>
こうした取材で改めて感じるのは、かかりつけの医師の役割は重要で、
どんな病気にも対応できる能力と、地域住民の健康を守るという高い志が、
住民からの信頼にも結びついているということです。
高齢者医療制度がスタートするまで一年たらず。
まずは、今、開業している医師への研修や教育を急ぐ必要があります。
そして、医師の教育のあり方を見直して、現代版赤ひげ先生として活躍できる医師を
育てていくことが重要ではないでしょうか。医療や介護のサービスを受けながら、
住み慣れた地域で暮らし続けることは、病気になった高齢者にとって幸せなことです。
在宅中心の医療を定着させるために、
小手先ではない、しっかりした対策をすすめてほしいと思います。
投稿者:飯野 奈津子 | 投稿時間:23:59

時論公論 「安心できる高齢者医療制度に」
luming2007
发表于 2008-02-22 21:35:16 养老与医疗问题

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